富士そばで、「昔ながらのラーメン」を食べた

あの富士そばに、ラーメンがある、ということをご存知だっただろうか。

僕は、知らなかった。もちろん、「そんなの前からある。普通知ってる」と、そう思う人もいるだろう。

だが僕は、知らなかった。

というのもこれまであまり、外食はすれど、「富士そば」という選択肢はなかった。というか、そばを食べるといった選択肢が、自分の中にあまりなかった。

自分の食のなかに「そば」という選択肢がうまれたのは、少しではあるが海外に住んだということがきっかけだろう。

その間、和食から離れていたからだ。自炊で和食をつくることはあったが、それでもその中に「そば」という選択肢はなかった。

「質より量」を求める自分にとって、「食べた」という満足感を得るには、そばは少し物足りなかったのだ。

安く手軽に済ませたいと思ったときには、「牛丼」だった。ちなみに、デフォルトで味噌汁がついてくる、松屋派だ。

他にも、いわゆる”コミュ障”に近い自分にとって、口頭で注文するよりも食券であるほうが気軽だった。

「注文すらしたくないとかどれだけの”コミュ障”なんだ」といった声も聞こえてきそうだが、今回お伝えしたいのは自分の”コミュ障”具合ではなく、あくまで「富士そば」についてなので、そこについてのツッコミは遠慮頂きたい。

優先順位で言うと、”松屋>すき家>吉野家”だ。

だが、今回お伝えしたいのは、自分の牛丼屋における優先順位ではなく、あくまで「富士そば」についてなので、「知らねえよ」といったツッコミも遠慮頂きたい。

 

話を戻すが、今回、僕は富士そばのメニューに「ラーメン」があることを知った。

メニュー名は、「昔ながらのラーメン」である。

もしかしたら、そば屋にラーメンというところに、いわゆる”邪道”といった概念を持つ者もいるだろう。

だが、特にそば屋というものに強いこだわりがあるわけではない自分にとって、これは興味をそそられた。

富士そばのラーメン。どのような味なのだろう。しかも、「昔ながらのラーメン」だ。

 

自分にとっての「昔ながらのラーメン」というのは、実家の近所にあった「北海」である。

ここは自分の田舎に小さく店を構えるラーメン屋であるのだが、「美味しかった」という記憶しかない。ラーメン屋でありながら、小さな田舎の数少ないラーメン屋であり、近所の住人たちの憩いの場であったとも言える。

家から徒歩で通える場所にあったため、家族で何度も通ったものだった。

過去形なのは、この「北海」は、自分が小学生の頃、理由はわからないが、近所に皆に惜しまれながら閉店してしまったからだ。もうこの「北海」のラーメンを味わえることは、二度とない。

だが、それから数年後、家の近所に新たなラーメン屋ができた。

そこはなんと、以前「北海」で働いていた従業員が開いたラーメン屋だった。

きっと、皆、大きな期待を抱いたことだろう。

自分も、自分の家族も、同じだった。

そのお店がオープンし、しばらくは行列が続いた。

だが、決してそこのラーメンは、「美味しい」といえるものではなかった。それは自分だけでなく、皆が思っていたようだった。

それだけ、ラーメンというのは奥が深いのだろう。美味しいお店で働いていたからと言って、そこの従業員がろくに修行もせず、美味しいラーメンをつくることは難しい。

そして、日が経つにつれて、そのラーメン屋に足を運ぶものはいなくなった。

それから月日が経ち、30歳を過ぎた今でも地元に帰省すると、そのラーメン屋を目にすることがある。だが、人が出入りしている様子は見当たらない。

それでも店が続いているのは、田舎のコストの低さならではといったところだろう。

 

だが、今回お伝えしたいのは、そのラーメン屋の「不味さ」ではなく、「富士そば」についてなので、「さっきから何の話をしているんだ」といったツッコミには、「ごめんなさい」以外の言葉が見当たらない。

ごめんなさい。

 

そして、富士そばに入った。食券販売機に小銭を入れ、「昔ながらのラーメン」のボタンを押す。

ちなみに価格は420円。

ラーメン一杯で420円というのは、東京で味わえるラーメンにしては安いといえるだろう。

「富士そば」はそもそも低価格であり、自分が500円もせずにそばを食べられる環境に身を置いていることに、今では感動すら覚える。

いつしか「富士そば」を、”神”と崇めつつある自分がいる。

 

そして、食券を渡し、ラーメンが出てきた。ラーメンでありながらこの待ち時間の短さも、「富士そば」ならではと言えるだろう。

見た目は決して悪くない。油の浮き具合、具材、麺の太さ、「美味しそう」としか言いようがない。

基本的に僕は、ラーメンはこってりで、太麺派だ。細麺は苦手であることから、こってりと言えど「一蘭」や「天下一品」にはあまり足を運ばない。

そしてこの「富士そば」の「昔ながらのラーメン」は、醤油だ。そう、自分的にも、昔ながらといえば、醤油である。

「北海」のラーメンは、醤油だった。というか、他のメニューは覚えていない。

 

いざ、食してみる。

 

予め言っておくと、僕はあまり味に対してはうるさくない。食べれればいいといった性格である。美味しいか美味しくないか、その2つでしか評価はできない。

ラーメンにおいて、コシがどうだのなんだのというのは、正直よくわからない。

 

「昔ながらのラーメン」

 

食べた感想は、「美味しい」だった。

 

ただ、普通に、「美味しい」

 

正直なところ、「昔ながら」であるかどうかはわからない。食べた瞬間、あの「北海」の記憶が呼び起こされるか、と言われれば、はっきりそうだとは言えない。

というか、メニューに「昔ながら」と付いている時点で、「北海」の記憶が若干蘇っているので、食べたところで結局は、「美味しい」としか言いようがない。

だが、とにかくおいしい。

420円であるなら、十分にコスパはいいと言える。

コスパ。

 

コストパフォーマンス。

 

「安い割によくない?」

 

を、現代風に言い換えた言葉である。

コスパがいい。

このラーメンは昔ながらか、と聞かれればなんとなく確かにやはりそんな気もしてくるほど、美味しい。

「富士そば」のラーメンは、美味しいのだ。

味の濃さや、麺の太さ、具材、どれをとっても申し分ない。

420円で、そば屋でありながらこの美味しさは、ずるいとも言えるほどだ。

汁まで飲み干してしまった。

どの店舗にもあるのかどうかはわからないが、この日利用したのは、北千住店。

「富士そば」のラーメンは、美味しい。

●【住所】東京都足立区千住2-61







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