いったいどういうことだろうか
これまで、世界一周などといった大それたことではないが、海外に何カ国か行ったことがある
旅行もあればワーキングホリデーで働きながら1年住んだこともあった
ペルーのリマなど、治安が悪いとされる国に行ったこともある
だが、治安が悪いとされている地域では行動を最小限に抑えたり、スリに合わないよう常に危険を意識したりと自己管理は徹底していたこともあって、これと言ったトラブルに巻き込まれることはなかった
もともと平和主義でもあるため、喧嘩などはしたくないし、暴力とは無縁の世界で生きてきた
というかビビリな性格で、喧嘩などしても勝てる気はしない
誰かと争うなど、できることなら今後も避けていきたい。自分が悪くなくても謝って済むなら全力で謝る
気まずい感じとかも大嫌いだ
そして2017年9月上旬、日本へ帰国した
約1年弱ぶりといったところだ
とりあえず今後の家を探すまでの間に泊まれる、東京都内の安いゲストハウスのようなところを前もって予約していた
そして帰国して2日目、普段からSIMフリーのスマホを使っていることもあり、格安SIMを契約しようと錦糸町の取扱店へと向かった
どこの会社がいいのかはよくわからなかったが、とりあえず番号さえ手に入ればいいと思い、適当に契約しようと店舗の中へ
若い女性の店員さんにプランなどもろもろ訪ね、動作確認をしてもらっていた
その時だった
動作確認中、暇だった僕はぼーっと外を眺めていたのだ
そのお店は路面店で1階。すぐ外には人が何人も通っている
そこに一人、黒のスーツをまとったハゲがいた
いや、正確にはその男がいたことなど僕は気づいていなかった
ただぼーっと眺めていただけなのだから
気づいたのはその後の出来事がきっかけだった
その男が、店内に入ってきた
だがそれ自体はなにもおかしなことではない。ここは携帯ショップ、契約でもしに来たのだろう
その時の僕はそう思った
だが、違ったのだ
その男はなんと僕の近くまで寄ってきて、こう言った
「お前何なんだよ!」
その男がいきなり、僕にそう言ったのだ
突然の出来事に驚きを隠せなかった
「お前何なんだよ」と言われても、僕は何でもない
とりあえずスマホのプランを契約しにきた普通の一般男性であり、このスーツをまとったハゲにとっては、本当に何でもない
僕はぽかんとしながらそのハゲを見ていた
すると男はこう続けた。「なにお前債権者?ウチから金借りてんの?」と
どうやらどこかの金融関係の男のようだ。
この感じはいわゆる”闇金”といわれるアレなのだろうか。ウシジマ君的な。
だとしたら、とりあえず、コワい
僕はそういったところからお金を借り入れてはいない
だが、今にも殴りかかって来そうな気配だった
この携帯ショップの中でだ。勘弁して欲しい
「お前なに見てんだよ」
さらにそう言ってきた
「お前なに見てんだよ」
こんなセリフ、何世紀ぶりに聞いただろう
典型的な地元の不良が他校の生徒に使う言葉ではないだろうか
「お前何中だ?」
後にはそんな言葉が続くかと思ったが、さすがにそれはなかった
だが、「このクソガキが」と続いた
「このクソガキが」
ちなみに、僕はその時点では30歳
そのハゲは年齢がわかりにくい容姿で、恐らく30代半ばから後半かと思われ、少なくとも確かに僕よりは年上なのは間違いない
だがまさか30歳になってまでクソガキと罵られるとは思わなかった
だがまずこの場をなんとかしなければならない
僕はビビりながら小さな声で「見てないです」と伝えた。本当に見ていないしハゲだし
ハゲの男に興味などはない。この黒のスーツをまとったハゲ、黒スーツハゲ、THE☆黒・ハゲさんなどにこれっぽちも興味などないのだ
美女や知り合いにめっちゃ似てるとかそういうことでもないかぎり、他人をじっと見ることなどまずありえない。
だがもちろんそんなことを言えるはずもないため、とにかくこの場をやり過ごそうと「すみません」と言っておいた
なにも謝るようなことをしていないが、しょうがない
とにかくこの黒ハゲには早く出ていってほしい
お店の中が異様な雰囲気になってしまっている
「俺の勘違い?クスリやりすぎかな?」
そう言ってきたが、本当にヤッていてもおかしくはないため、「いや、わかんないですけど…」
と答えてみた。するとハゲ黒さんは、
「嘘だよバーカ」
そう言って、お店を出ていった
助かった
というか、何なのだコレは
日本は比較的治安が良い国だと認識している。
だが、海外数か国を周ってもこんな経験はなかった
だが帰国してたった2日で、いきなり黒のハゲの輩に絡まれた
日本のほうが危ないではないか
コワイコワイコワイコワイ
とりあえずそのうちキックボクシングでも習おうかな
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