UberEatsの配達待機中に、なぜかゲイに間違われたとある日の午後

僕は日頃、ウーバーイーツの配達員として活動している。だがこの仕事は、配達依頼が来なければヒマな時間ができてしまうのだ。

 

そのヒマな時間に、スマホをいじりながら時間をつぶすことが多い。

 

 

そしてこれは、夕方に差しかかろうとしているある晴れた日の午後だった。

 

配達依頼を待つべく、比較的注文数が多い某エリアにてガードレールにもたれかかり、特に何も考えずにただぼーっとスマホをいじっていた。

 

すると、とある男性が声をかけてきたのだ。

 

 

「この辺詳しい?」

と。

 

本来他人にものを尋ねるときは、「すみません」など一言あるべきだろう。しかも全く面識のない完全なるアカの他人だ。

 

だがそんな言葉もなく、このおじさんはいきなり「この辺詳しい?」と聞いてきたのだ。

 

サラリーマン風の、小太りでぽちゃっとしたスーツ姿でおそらく年齢は30代後半から40代前半くらいだろうか。

 

その声のかけ方に違和感を覚えつつも、

 

「いや…そんなに詳しくはないですね」

 

そう答えた。

 

この仕事柄、東京都内の様々な地域に行くこともあるが、この時にいた場所に関しては拠点にもしているエリアであったので、全く知らないというわけではない。

 

だがそれはあくまで配達員としてのことであり、基本的に普段配達以外で訪れるエリアではなかったため、単純にそのエリアについて詳しいかと聞かれればあまり自信はなかった。

 

この時、おそらく道を聞かれるのだろうと思ったので、そう答える他なかった。

 

だが、この目の前にいるぽっちゃり男性が僕にしてきた質問は、予想の遥か斜め上をいくものだったのだ。

 

 

 

「この辺って、ハッテン場ある?」

 

 

 

はじめは耳を疑った。

 

ハッテン場というのは、いわゆる同性愛の方々が集まり、なんやかんやする場所、というのをなんとなく知っていたが、正直それ以外のことは詳しく知らない。

新宿2丁目や上野あたりにそういった場所があるというのは聞いたことがある。

だがこのとき自分がいたエリアに、そういった場所があるなどとは聞いたことがない。

 

「いや…知らないですね…」

 

もちろんそう答えるしかなかった。

 

そのときいたエリアというのは、どちらかと言うと高級住宅街で高所得層が多く住むエリアだ。

だからといってそういった場所がないとも言い切れないが、一度も聞いたことはないのだ。

 

だがその男性は意外にも、こう続けた。

 

 

「でも誘われるでしょ?」

 

 

正直、頭の中が一瞬で「?」で埋め尽くされた。今思い返してみても、意味がわからない。僕を誘いたかったのだろうか。

 

 

もちろん、「いやいや、誘われないですよ」

 

と、僕。

 

誘われたことなどないし、何よりいきなり話しかけてこれはさすがに失礼なのではないだろうか。

 

 

別に同性愛を否定するつもりは全くない。

短期間ではあるが以前海外に住んでいた頃、そういう男性やカップルを何度も見たこともあるから今さら珍しいともなんとも思わないし、そういうことは自由でいいと思っている。

だが、自分は違う。

 

 

女性が大好きだ。

 

だが思い返すと、間違われたことはコレが最初ではない。

 

あれは逆上ること10年以上前、まだ新卒で入社してまもない頃だった。

 

接客業だったため、とある男性客と会話をしていたときだ。

 

 

「男の人好きそうですね」

 

いきなりその客の男性にそう言われたのだ。そういえばこの時もいきなりだった気がする。

 

繰り返すが、自分はそちら側ではない。

 

「いやいやいや」

 

笑いながらそう返した。

 

そしてこの男性が冗談で言っているのであろうということも考え、こちらも冗談で返そうと、笑いながら

 

 

「すごく女性が好きです♡」

 

そう答えてみた。乗ってあげたのだ。なぞの男が好きそう発言に対し、すごく女性が好き発言でその場を和ませるテクニックである。どうだ。笑え。笑うのだ。

 

そしてその男性は、

 

「え…あ、あぁ…はは…」

 

 

 

苦笑いである。

 

失礼だろう。自分から振っておいて、こちらが乗っかれば苦笑いというのはさすがに失礼だろう。

 

この男性がそちら側の方だったのかどうかはわからない。

 

 

だがそう考えると、自分はそう見えやすいのかもしれない。

自分の見た目のどこにそういった要素があるのかは、全くわからない。

 

 

話を戻すと、そのハッテン場の場所を聞いてきたぽっちゃりはさらにこう続けた。

 

「新宿2丁目とか行ったことある?」

 

と。なんだコイツまじで。

 

「いや、ないです」

と僕。

 

「え、何で?断ったの?」

 

 

ほんとなんなのキモいんですけど。

勝手に誘われた前提で話しているが、本当に誘われたことなど一度もない。

 

 

いやいや、本当にそういうのないです」

 

そう答えると、男性は最後に笑顔でこう言ったのだ。

 

 

 

 

「ふふ…ありそう♡」

 

 

 

 

 

 

 

このデブ超キモいんですけどぉぉぉおお!

 

 

そんなとある日の午後でした。

 

おわり

 







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